
情報モラル授業のフックとして生成AIツールを使う【小学高学年〜中学】
「インターネットの情報を信じすぎないようにしましょう」「個人情報を不用意に書き込まないようにしましょう」——情報モラル授業の定番テーマですが、この2つだけで授業が完結する時代は終わりました。
生成AIが当たり前になった今、情報モラルには新しい論点が加わっています。「AIが作ったものを、そのまま自分の作品として出してよいか」「AIが言ったことを、そのまま正しいと信じてよいか」「AIに自分の悩みを相談するとき、何に気をつけるべきか」——こうした問いに、児童・生徒と一緒に向き合う授業が必要になっています。
ツクルラボMAKERのツール群を切り口に、新しい情報モラル授業の組み立て方を提案します。
論点1:AIが作ったものは「自分の作品」か?
情報モラルの新しい中心テーマです。生成AIが作ったあらすじ、絵、文章を「自分が作った」と言ってよいのか。引用するときはどう表記するべきか。著作権の観点ではどう扱われるのか——。
授業案:
- ツクルラボMAKERのストーリーメーカーで、児童・生徒それぞれにあらすじを生成させる
- 「これを自分の物語として発表する場合、どこまで書き換えれば『自分の作品』と言えるか」をクラスで議論
- 「AIが作った部分」「自分で書き換えた部分」をマーカーで色分けする活動
- 著作権の基本(思想・感情の表現が著作物、依拠性と類似性、引用ルール)を簡単に学ぶ
「線引きは一つではない」ことを体感する経験は、これから何度も訪れる「AIと自分の境界」を考える出発点になります。
論点2:AIが言うことは正しいか?
これも避けて通れない論点です。AIは堂々と間違えます。実在しない人物の名前を出したり、計算を間違えたり、実在しない法律を引用したりします。
授業案:
- 児童・生徒に「自分の住む地域の有名人」「学校の歴史」など、答えを検証できるテーマでAIに質問させる
- AIの回答を、教科書・図書館・自治体サイトなど信頼できる情報源で検証
- 「合っていた点」「間違っていた点」「断定的に書いていたが実は不確かだった点」を分類
- 「では、どう使えば安全か?」をグループで議論
ツクルラボMAKERの各ツールでも、AIが時折おかしな提案をすることがあります。「AIの言うことを鵜呑みにしない」を実感する素材として、教育現場で使うことができます。
論点3:AIに何を入力してはいけないか
子どもたちはAIにいろいろなことを話しかけます。学校での出来事、友達のこと、家庭のこと——プライバシーや個人情報の論点が新しい形で出てきます。
「学校名を入れたら、その学校の悪口を書かせるプロンプトに使われるかもしれない」「友達の名前を入れたら、その友達についてAIが推測したことが学習データに使われるかもしれない」——こうしたリスクを、具体例で示すことが必要です。
授業案:
- 「AIに話しかけるとき、入れてよい情報・入れてはいけない情報を分類しよう」というワーク
- 個人情報、第三者の情報、未公開情報、機密情報、それぞれの線引きを議論
- ツクルラボMAKERのような教育用AIツールと、汎用チャットAI(ChatGPT等)の違いも紹介
論点4:AIに頼りすぎる習慣を見直す
「AIに考えてもらえばいい」という習慣は、思考力の低下を招きます。情報モラルの中で、**「AIを使うべきタイミングと使わないタイミング」**を意識的に切り分ける訓練を組み込みましょう。
実践例:「自分で考える時間とAIに相談する時間を分ける」。最初の10分は自分だけで考える、その後5分でAIにフィードバックをもらう、最後の10分は自分でまとめ直す——というリズムを生徒に体験させます。
1コマで完結する授業案(45分)
授業時間を確保しづらい先生のために、1コマで完結する案も提案します。
| 時間 | 活動 | |---|---| | 0〜5分 | 導入:「AIに〇〇のあらすじを書かせたら、どう使う?」と問いかけ | | 5〜15分 | ツクルラボMAKERのストーリーメーカーを体験 | | 15〜25分 | 「これを学校コンクールに自分の作品として出してOK?」をグループで議論 | | 25〜35分 | 線引きの提案を発表、クラスで意見交換 | | 35〜45分 | 振り返り:「これからAIをどう使うか」を一人ひとりが書く |
まとめ
情報モラルの中心が「ネットを信じすぎない」だった時代から、「AIとどう付き合うか」を含む時代に移っています。ツクルラボMAKERは、児童・生徒が安全な環境で「AIと考える」体験を積む場として、情報モラル授業の素材にお使いいただけます。
