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VTuberメーカーで中高生のキャリア教育・自己プロデュース体験【進路指導の新しい入口】

教育キャリア教育進路指導中学高校

「将来何になりたい?」と問うと多くの生徒が固まる——進路指導・キャリア教育の現場で何度も繰り返されてきた光景です。職業から逆算する従来のキャリア教育では、いま中高生が直面している「働き方が多様化しすぎて、職業名だけでは将来像が描けない」という現実に応えづらくなっています。

そこで提案したいのが、ツクルラボMAKERのVTuberメーカーを使った「自己プロデュース型キャリア教育」です。VTuber というキャラクター設計の枠組みを借りて、生徒自身の興味・強み・伝えたいことを言語化し、それを発信する立場の体験を経るアプローチです。

なぜ VTuber がキャリア教育の入口になるのか

職業名から考えるアプローチの限界は、生徒が「知っている職業」のなかからしか選べないこと。一方、VTuber というキャラクター設計は、

  • 「どんな人として」発信するか(キャラクター性)
  • 「何を」発信するか(コンテンツ)
  • 「誰に届けたいか」(ターゲット)

という、現代のあらゆる仕事に共通する3要素を考えるきっかけになります。これらを生徒自身の「自分」に置き換えて考えるだけで、キャリア教育の本質的な問いに自然と接続します。

VTuberメーカーの基本

VTuberメーカーは、見た目・性格・配信ジャンル・ターゲット層などをルーレット形式でランダムに決め、その条件下で「推されるVTuber」のキャラクター設定をAIが提案するツールです。教育用途では、ランダム生成された案をそのまま使うのではなく、**「自分ならこう変える」**という改変プロセスに価値を置きます。

単元設計案:3時間で完結するキャリア教育プログラム

第1時:他者のVTuberを設計する(45分)

最初は自分のことではなく、ランダム条件で生成された他人(架空)のキャラクター設定を題材にします。

  • ツールでキャラクターを生成
  • 生徒同士で「このキャラの強みは何か」「誰に響きそうか」を議論
  • AIに見えていない「人物としての一貫性」を補う作業

自分のことを考える前に他者の設計を見ることで、後で自分自身に向き合うときの観察眼が養われます。

第2時:自分のVTuberを設計する(45分)

ここから自分の番です。VTuberメーカーで生成された案をたたき台にしつつ、

  • 自分の好きなこと・得意なこと・話せること
  • 周りから言われる印象
  • 知ってほしいこと、伝えたいこと

を書き出し、それを反映した「自分のVTuber設定」に書き換えていきます。実際にVTuberとして活動するかどうかは関係なく、自己分析の枠組みとして使うことが重要です。

第3時:発信戦略を考える(45分)

設計したキャラを、

  • どのSNS/媒体で発信するか
  • どんなコンテンツを毎週続けられるか
  • 3ヶ月後・1年後どうなっていたいか

という観点で計画。「発信が続く生活」を想像することで、自分の生活と関心領域の接点が見えてきます。

進路指導に与える影響

このプログラムを終えた生徒に、改めて「将来何になりたい?」と問うと、答えの解像度が大きく変わります。

「YouTuberになりたい」と答えていた生徒が、「教育系のコンテンツを作る人になりたい。仕事は教師でも編集者でも発信者でもいい」と語るようになる——というのが典型的な変化です。職業名から「役割」「価値の届け方」へ視点が移るのです。

これは、現代の進路指導が目指すべき姿そのものです。職業選びはゴールではなく、「自分の強みを社会にどう還元するか」を考えるプロセスの結果に過ぎません。

探究学習との接続

総合的な探究の時間でも、VTuberメーカーは「自分のテーマを発信する」段階の補助教材として使えます。たとえば「地域の伝統文化」「気候変動」「教育格差」などをテーマに探究してきた生徒が、**「このテーマをVTuberとして発信するなら、どう設計するか」**を考えると、

  • 専門性をどう自分のキャラクターに統合するか
  • 誰に伝えたいか
  • 関連する他のVTuberとの差別化

など、社会で何かを発信するために必要な思考が一気に動き出します。

キャラクターと自己同一視のリスク

一点だけ、教える側として気をつけたいのが、キャラクターと現実の自分を混同するリスクです。「このキャラは魅力的だけど、自分は違う」という距離感を保つことが、健全な自己理解には不可欠です。

授業では繰り返し「キャラクターは演じる対象であり、本当の自分の全部ではない」「設定は変えていい、変えるべき」と確認してください。自分自身は固定された一つの像ではなく、状況に応じて変わる存在だと体感できれば、生徒のアイデンティティ形成は前進します。

評価のポイント

学習成果として評価する場合は、次の3つを軸に組み立てると整理しやすくなります。

| 観点 | 見るポイント | |---|---| | 自己理解 | 自分の強み・関心が具体的に言語化されているか | | 戦略性 | 誰に何を届けたいかが明確で、整合性があるか | | 振り返り | プログラム前後で自分の捉え方がどう変わったか |

まとめ

VTuberメーカーは、ゲーム的な楽しさを保ちながらキャリア教育の本質的な問い——「自分は何者で、何を社会に還元したいか」——に生徒を向き合わせるツールとして使えます。中学・高校の進路指導や探究学習を担当される先生方の引き出しの一つとして、ぜひお試しください。

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