初期微動継続時間の求め方と走時グラフ|地震のゆれが伝わる様子を動かせる教材
中学1年 / 第2分野 (2)大地の成り立ちと変化 (ウ)火山と地震 ㋑地震の伝わり方と地球内部の働き
地震の単元は、教室で実験ができません。教科書の走時グラフと地震計の記録を読むだけになりがちで、「震源が動いたらこの記録はどう変わるのか」を試せません。
このツールは、地図の上で震源をつまんで動かせます。深さも 10km から 100km まで変えられます。3つの観測点の地震計の記録と走時グラフが同時に描き直され、地面の断面では波が円になって広がります。
この単元で つまずくところ
- 震源と震央のちがい。 「震央は震源の真上」と言われても、深さが 0 だと2つが同じ点になって区別が消えます。このツールの深さは 10km からで、地図には震央、断面図には震源が別々に出ます。震央からの距離と震源からの距離が両方表示されるので、三平方の関係も見えます。
- 初期微動継続時間が距離に比例する理由。 P波とS波の速さが違うから、というのは分かっても、なぜ「比例」なのかは式を立てないと出てきません。観測点を近くから遠くへ動かしながら記録を見ると、ずれが一定の割合で広がっていくことが目で分かります。
- 走時グラフの読み方。 2本の直線の傾きが速さの逆数であること、交点が震源(震源時)であること。グラフだけを見せられても意味が取れません。地図・記録・グラフが同時に動くので、どの線がどの現象かが対応づきます。
- 波の速さは「決める」ものではない。 P波・S波の速さをスライダーにすると、速さを自由に設定できる量だと誤解されます。ここは地ばんのかたさ(かたい/中くらい/やわらかい)で選ぶ形にしてあります。中学で扱うのは「地ばんによって速さが変わる」ところまでです。
このツールで 何が見えるか
- 震源を動かす
- 地図の上で震源の位置を、つまみで深さを変えられます。3地点の記録と走時グラフが同時に描き直されます。
- 3地点の地震計の記録
- 初期微動と主要動が別々に出ます。同じ地震でも距離によって記録の形が変わります。
- 初期微動継続時間
- 選んだ観測点の値が出ます。P波の到着・S波の到着も発生からの秒数で出ます。
- 走時グラフ
- 距離と時間のグラフに P波・S波の直線が引かれます。いまの時刻がグラフの上を動きます。
- 地面の断面と家のゆれ
- 震源から円状に波が広がる様子が断面図に出ます。3地点の家が、縦にゆれてから横にゆれます。
- 緊急地震速報
- P波を検知してから速報が出るまで、速報からS波が来るまでの秒数が出ます。震源に近いほど間に合わないことが分かります。
授業での使い方
再生ボタンで波を広げて見せます。「Aは主要動まで終わり、Bは初期微動の途中、CにP波が届いたばかり」という時刻で止めると、3つの段階が1画面に並びます。
観測点を3か所動かして、震源からの距離と初期微動継続時間を表にさせます。比例のグラフを自分で描かせると、大森公式の形につながります。
「初期微動継続時間が10秒になる場所を探す」「緊急地震速報が間に合わない範囲を調べる」を課題にします。深さを変えると答えが変わるので、深さも条件として扱わせます。
どの使い方でも、動かした条件はそのままURLに入ります。 画面の「リンクをコピー」を押して配れば、生徒の端末でも同じ画面が開きます。 生徒が見つけた条件のリンクを提出させれば、そのまま記録になります。
すぐ使える条件
- 深さ40km・かたい地ばん標準の設定
- 深い地震(100km)震央と震源のずれが大きい
- やわらかい地ばん波が遅く、記録が右へずれる
あえて入れていないもの
中学校で教える形を優先して、省いている条件があります。 教科書や資料集の数値と合わないことがあるので、先に書いておきます。
- 波の減衰(遠いほど小さくゆれる)は、記録が読める範囲におさえてあります。実際の減衰よりゆるやかです。
- 地ばんは1種類が全体に広がっているものとして計算しています。層による屈折は扱いません。
- 震源の深さの上限は 100km です。これを超えるといちばん遠い観測点が走時グラフからはみ出します。
よくある質問
P波とS波の速さは変えられますか?
直接の数値では変えられません。地ばんのかたさを3つから選ぶと、それに応じて速さが変わります。
観測点は動かせますか?
動かせます。地図の上でつまんで移動できます。距離を変えながら記録の変化を追う使い方ができます。
緊急地震速報はなぜ間に合わないことがあるのですか?
速報はP波を検知してから出るので、震源に近いほどS波との差が小さく、間に合いません。ツールでは震源からの距離を変えながら「速報からS波まで」の秒数を確かめられます。
ほかの教材は 中学理科ラボの一覧 から。
直してほしいところは 改善の要望 から。ツールの画面の「要望を送る」を押せば、そのとき見ていた条件のURLが付いた状態で開きます。
